
Past exhibition

方丈三昧 増田伸也
HOJOZANMAI Shinya Masuda
2025年1月10日〜2月10日
増田伸也の写真展『方丈三昧 HOJO ZANMAI』を開催します。
前作『花札装束 HANAFUDA SHOZOKU』では、
自身が幼い頃に祖母より聞いた「形あるものはいつかなくなる」
“all things must pass.”という言葉をきっかけに、 腐った食べ物や有機物をモチーフとして、目に見える物質世界と目に見えない精神世界をつなぐ作品を生み出すというスタイルでしたが、
今作『方丈三昧 HOJOZANMAI』は、2020年から2021年にかけ幾度の緊急事態宣言を経てさまざまな想いを巡らせた結果、先のスタイルにより拍車がかかったものとなりました。増田は「生と死」「豊かさと貧困」「愛」「神と仏」「宇宙の始まり」などなど、目には見えない何ものかを鴨長明を筆頭とする先人たちの言葉(暗号、コード)をヒントとして謎解きをし、理解し、視覚化したのです。
本展で、増田の新たなる境地の第一歩をご高覧いただけましたら幸いです。

On the Other Side
Yoshuiteru Hagiwara Exhibition
2025年3月7日〜3月17日
2017年から5年間撮り続けた、南アフリカ・ケープタウンのポートレート。圧倒的な格差のある国で、決して裕福ではない彼らだが、その存在感は際立っていた。所有するものは限られている。
しかし、そのすべてが彼ら自身を映し出し、生き方そのものが強い輝きを放っている。撮影を続ける中で、私は被写体を見つめるだけでなく、自分自身もまた見られる存在であることを意識するようになった。危険と緊張の中でも、時間をかけ、彼らと向き合いながら撮り続けている。
These are portraits of people in Cape Town, South Africa, taken over a five-year period starting in 2017. They live in a country with overwhelming inequality, and although they are by no means wealthy, their presence is striking. They own very little. However, everything they own reflects who they are, and their way of life itself shines with a strong radiance. As I continued to shoot, I became aware that I was not just looking at the subjects, but that I was also being looked at. Even in the midst of danger and tension, I continued to take pictures, taking my time to face them.

テ
A PERSONAL SELECTION
Masato Okazaki Exhibition
2025年3月28日〜4月21日
本展は、1980年代から一貫して大型カメラによるシルバーゼラチンプリントで作品を制作し続けてきた岡崎正人が、自ら厳選したヴィンテージプリントを展示するものです。
岡崎は40年にわたる創作活動の中で、泥、廃墟、雪、氷など多様な被写体を捉え、独自の技法を駆使して表現してきました。本展では、その中から15点の作品を展示いたします。
これらの作品は、昨年完成した52点の作品からなるポートフォリオを中心にセレクトされたもので、合計5セットプリントされたポートフォリオの一部は現在もアメリカで展示が行われています。
また、会場ではポートフォリオのビューイングも予定しております。
シルバープリントならではの力強さ、繊細さ、そして滑らかな階調を、ぜひ会場でご体感ください。

The Silence 小川康博 作品展
Yasuhiro Ogawa Exhibition
2025年4月25日〜5月12日
今回の写真展では2020年に出版した写真集『The Dreaming』と2023年出版の写真集『Into the Silence』
から厳選した作品15点を展示します。『The Dreaming』はモノクロ作品を、『Into the Silence』はカラー
作品を集めた作品集ですが、双方ともテーマは“旅”であり、写真を通して私が語っていることに違いはありません。50才のときに編んだ『The Dreaming』は写真を始めた二十代の頃から四十代後半までの作品をランダムに並べ
たもので、『Into the Silence』は四十代の半ばから足繁く通うようになった北日本の風景を一冊にまとめたものです。
ご高覧いただければ幸いです。
In this exhibition, I will showcase 15 selected works from my two photobooks: “The Dreaming” (published in 2020) and “Into the Silence” (published in 2023). “The Dreaming” features monochrome works, while “Into the Silence” is a collection of color photographs. Despite the difference in format, both photobooks share a common theme: “journey”. The stories I convey through photography remain consistent in both works.
“The Dreaming”, which I compiled at the age of 50, is a random selection of images taken from my twenties, when I first started photography, through to my late forties. In contrast, “Into the Silence” brings together the landscapes of northern Japan, a region I have visited frequently since my mid-forties. I hope you will enjoy viewing the works.

遠くに狼煙が見えにけり
土井沙織 個展
Saori Doi Solo Exhibition
2025年5月16日〜6月16日
誰かの価値観が、誰かの時間とぶつかり合ったあとに残されたものは、粒子のように空気のなかに漂っている。
それは、かつて掲げられた狼煙の名残かもしれない。
土井沙織は、そのゆらぎを感じ取りながら、
自分なりの合図を立ち上げようとしている。
目に見えない気配に耳を澄まし、過去と現在が溶け合う空気の中に、
静かに、しかし確かに。
土井は愛知県に生まれ、神奈川と東京で育ち、2010年に東北芸術工科大学大学院 芸術文化専攻 日本画領域を修了。現在は山形を拠点に、平面、立体、壁画、インスタレーションなど多様な形式で、国内外に向けて精力的に発表を続けている。
彼女の作品は、動物や人間の生きる姿を、呪術的・神話的な視点からとらえ、本質的な存在の輪郭を探る試みである。木製パネルに寒冷紗を張り、石膏で固めた上に岩絵具や顔料、弁柄、水干などを用いて描かれる画面は、幾度もの塗り重ねと修正を経て、当初の構図を裏切るように変容しながら、最終的には作家の身体と思考の軌跡を留めたかたちで現れてくる。
「神様のかけらを拾う」「大きなものの影を追う」——
土井自身がそう語るように、その制作は明確なゴールを目指すものではなく、むしろ過程そのものにこそ意味がある。
そしてその静かな問いかけは、私たちにとってもまた、思考するための余白となる。

Sleeping Memories 山口息吹
Ibuki Yamaguchi Solo Exbition
2025年6月20日〜7月7日
S3 Gallery Tokyoでは写真家・山口息吹の初のソロエキシビジョン「Sleeping Memories」を開催します。
本展は作家の意識の奥に眠っている淡い記憶を覗き見るかのような、象徴性のあるイメージの写真群を一列に並べた写真展になります。シークエンスは時折細かく分解されてホワイトキューブに無理に引き伸ばされ、イメージの時系列や前後関係が曖昧なまま提示されていきます。
今回彼は物事の美しいシークエンスをフィルムの粒子で余さず記録したいとの思いから、膨大な量のコマ撮りが可能な8mmカメラを手に取り撮影を行いました。
また本展においてはモノクロを主とした8mmフィルムというこのデジタル社会において非常に制約の多いメディアを選択することにより、現代の写真の役割の一側面である記録性が薄くなることでスナップ的な撮影アプローチでありながらほとんどの写真からは現実感が失われ、音の無い夢のような印象を残すものになっています。
「あるモチーフに対して何度も別のパターンで展開し、その主題が持っている可能性を拡げていきたい。光の色や強さ、当てる角度を変えてみることで同じ被写体でも様々な影が生まれます。僕はその影を記録して並べて観察して、浮き上がってくる何かを感じたい。」と彼が言うように、車や住宅、ドアや植物などの同じ被写体を別のスタイルで繰り返し表現していく作品制作からは、彼の被写体に対する男性的なフェティシズムや、これからの作家活動を長期的に見据えた姿勢を垣間見ることができます。
ぜひ会場にて、静かに重ねられた記憶の断片をご覧ください。
ご来場を心よりお待ちしております。
作家プロフィール
山口息吹
1999年 生まれ
2023年 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業 在学中に独学で写真を始め、
雑誌や広告の撮影で活動
2024年 W所属

島の時間 山下恒夫 写真展
Tsuneo Yamashita Photo Exhibition
2025年9月10日(水)〜10月4日(土)
この度、S3 Gallery TOKYOでは、山下恒夫写真展「島の時間」を開催いたします。
本作は、2000年から2005年にかけて沖縄県の八重山、宮古列島の島々で撮影されました。
山下は大学で写真を学んでいた1983年、初めてこの地を訪れます。
それから20年ぶりに再訪した際、当時と変わらぬ暮らしが続いていることに深く心を動かされ、
古いドイツ製の二眼レフカメラ〈ローライフレックス〉を手に、島の人々や風景、祭礼や日常の暮らしを撮影するため、幾度も島を訪れるようになりました。
「島ちゃび(離島苦)」という言葉があるように、医療・交通・教育等、さまざまな面で負担を強いられる離島の暮らし。
しかし、そこに生きる人々は実に豊かな暮らしをしているように見えたといいます。
これらの作品は、2003年と2005年にコニカミノルタプラザで展示され、
2006年には写真集『島の時間』(クレオ社)として刊行されました。
そして今回、20年の歳月を経て、新たに構成した18点を展示いたします。
長い年月を経ても変わらず受け継がれてきた暮らしの姿が、ここにあります。
静かに流れる「島の時間」を、ぜひご覧ください。